海外で禅仏教が「Zen Buddhism(ゼン・ブッディズム)」と呼ばれるのに対して、浄土真宗の教えは「Shin Buddhism(シン・ブッディズム)」と呼ばれることがあります。当ページ『マイ・シン・ブッディズム』は、「現代の大乗在家日本仏教を思想する」をテーマとして、慶集寺住職・河上朋弘が海外の方々に向けて英語で記したテキストを、改めて日本語翻訳したものです。
写真:本多 元
たまたま日本に生まれ、浄土真宗の寺院に生まれ、そこに育って、それらの環境から文化的な影響を受けてきました。そして、自分が仏教徒であると自然と思うようになり、その価値観や考え方を当然のように受け入れてきました。
しかしながら、自分なりに経験を積んできたことで、世界には多様な宗教文化があることを知ると同時に、日本の仏教の特殊性にも気づくようになりました。
グローバル化する現代社会において、仏教僧侶としてのアイデンティティーを再認識しなければいけなさそうです。自らの信仰のどんなところに魅力を感じているかについて、改めて考えてみました。
[仏教について]
自分自身をよりよく生きていくための、道理に適った世界の捉え方が示されているところ
[大乗思想について]
実存的で実践的な自己のあり方と、無限の成長の可能性が示されているところ
[日本仏教について]
自立と共存、主体性と協調性の両立を目指す生き方が示されているところ
[浄土真宗について]
前向きに生きて死んでいくためのガイダンスが示されているところ
一般社会では仏教に対して、儀礼的であるとか、権威的であるとか、慣習的であるとか、そういったイメージを持たれることが多いようです。けれども、私が日々多くの気づき得ている仏教は、そうしたイメージとは異なるものです。
他者との違いに対して寛容であり、自由で平和な生き方を基調とするのが、仏教であると私は思っています。そういう仏教を、私は気に入っています。
元々に多様であることを前提として、この世界はあります。さまざまな宗教や宗派があることは当然のことだと思います。信仰はひとそれぞれの生き方であり、ひとそれぞれの意識の持ち方でしかありません。
余程の社会的な問題があるものでない限り、他者の信仰を否定してはいけないと思います。そしてまた、他者を否定することによって、真実を知ることはないと思っています。
私には浄土真宗の信仰がありますが、それをひとに押し付けようとは思いません。信仰は個人の自由であるべきだと思っています。けれどもまた、自分の信仰を通して得た普遍的な気付きを、他者と共有したいとも思っています。あなたが得た普遍的な気付きを、共有したいとも思っています。
それを共感できれば、うれしく思います。
マイ・シン・ブッディズム
① 日本のスピリチュアリティ
② 仏の教えと大乗思想
③ 聖徳太子の仏法
④ 親鸞聖人が伝える信心
⑤ 南無阿弥陀仏を聞く