慶集寺三百周年

慶集寺三百周年


二十一世紀も十七年が過ぎました。仏教では「諸行無常」といいますが、この世の中に移り変わらないものは、何ひとつとしてありません。これまでには当然のようにしてあったものも、それがあることの必然性がなくなると、それは自然と形を変えて、いままでのものではなくなっていきます。これは自然の道理です。

やがて来る二十二世紀の時代、子や孫のその先の時代にまで「仏教」を伝えていくためには、持続可能な寺院であるための存在意義を、改めて捉え直す必要があります。

三百年間にわたって受け継がれてきた大切なものを、これから三百年先の未来にまで確かに伝えていくために、平成三十年(2018) 慶集寺から『寺院再生』の鐘を、新たに打ち鳴らし始めようと思います。

木仏本尊
(阿弥陀如来像)

約三百年に渡って慶集寺で護持されてきた「木仏本尊」は、浄土真宗本願寺派の仏師であった京都・岡崎「渡邊康雲」によって彫られた日本浄土教の伝統的な様式が見られる仏像です。

この御本尊を、日本の伝統文化を伝える仏教美術として、そしてまた慶集寺に集う人々の心のよりどころとして再生するために、平成二十九年(2017)修復作業が施されました。

阿弥陀如来像の本体は、三百年前の金箔がほのかに残った状態のままでほこりだけを落とし、破損していた指を修復しました。そして光背と台座の部分の金箔を貼り直し、蓮華座の部分は欠損していた花弁を補修したうえで、新しく彩色しました。

そして新たに、この御本尊の背面を荘厳する木彫レリーフを、東岩瀬町に工房を構える木彫作家の岩崎努氏に制作していただきました。

岩﨑努 IWASAKI,Tsutomu

昭和47年富山県南砺市(旧井波町)に生まれる
平成 7年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
平成 7年多田美波研究所入所
平成 9年南砺市(井波町)にて制作開始
平成20年工房を富山市東岩瀬に移し「木彫岩崎」開業
平成22年西福ギャラリー(東京・青山)にて初個展
平成23年Collect2011(ロンドン)に出品
平成24年6代目桂文枝襲名記念「桂文枝像」制作
平成25年アートフェア富山2013にて準グランプリ受賞
平成26年アートフェア東京2014に出品
平成27年The best of Toyama Kogei Art and Design(ニューヨーク)に出品
軽井沢日動画廊にて「二人展」開催

主な受賞歴

平成12年第四十七回日本伝統工芸展本展初入選
平成14年第四十一回日本伝統工芸富山展にて最優秀賞受賞
平成19年全国木彫刻コンクール井波にて富山県知事賞 受賞
他入選入賞多数

修復された御本尊と木彫レリーフ荘厳を、旧本堂解体後の境内地に建設される「新御堂」に、あわせて安置する計画です。新御堂には、御本尊の安置された「参拝室」と、屋内納骨設備を設置した「預骨室」を建設いたします。

また、新御堂完成後の平成三十一年(2019)には、東岩瀬町の慶集寺から車で10分ほどの場所にある浜黒崎地域の墓地に「共同寺墓」を建設します。

富山市北部の海岸線に位置する浜黒崎には「古志の松原」と呼ばれる美しい黒松並木が白い砂浜に沿って見られます。立山連峰に昇る日の出を海辺から眺めることができるこの絶景の土地に、門徒会で共有する「お寺のお墓」を建設して、「倶会一処の聖地」にしたいと考えています。


平成から新しい元号の時代へと移り変わる大転換期にあって、寺院としての在り方を、時代に即してアップデートしていこうとする慶集寺の試みを、数年にわたって写真家・石黒健治氏に撮影していただきました。

当代に現存する稀有なる才能によって撮影された、慶集寺三百周年記念事業の変遷を、どうぞご覧ください。