④ お布施の相場?

最近では、ご葬儀の際に喪主の方から、ほぼ必ずといっていいほど「おいくらほどお包みすればよいのでしょうか?」というご質問をいただくようになりました。

お参りの際に僧侶にお渡しいただく「お布施」や「ご法礼」は、本来「施し」であって、「読経料」のような対価ではありません。

したがって、明確な「価格」があるものではなく、「お気持ちにおまかせいたします」とお伝えするのが通例でしたし、これまではそのようにご案内してまいりました。

しかし最近では、「尋ねていることに答えないのは不誠実である」とお考えになる方も増えてきたように感じており、確かに一理あると思い、考えを改めるようになりました。

もちろん、お寺の側から「お経の料金」を請求することは本来あり得ないことですが、それでも「おおよそどの程度必要なのか」をあらかじめ知っておくことで、ご依頼される方が安心できるのも事実です。値段の書かれていない寿司店には入りづらいのと同じで、予算の目安がわからなければ、不安に思われるのも当然のことです。

ご葬儀やご法要をお寺に依頼する前に「見積もり」をとることは必要かもしれません。

本来の「布施」とは仏道修行のひとつで、自らの所有を他者のために喜び捨てるという、自主的な施しのことをいいます。

在家の方々は財物による施し「財施(ざいせ)」を行い、僧侶は仏法を説く「法施(ほうせ)」を行うという、相互の施し合いによって成り立つのが本来のあり方です。こうした関係が信仰心に基づくものである限り、「心のあり方こそが大切である」ことは、常に意識しておく必要があります。

とはいえ、お寺が金銭を必要としないわけではありません。宗教法人として健全に運営していくためには、やはり資金が必要です。寺院施設の維持・修繕には費用がかかり、それを管理・運営する住職や家族も生活していかなければなりません。また、お寺を次の世代へ継承していくには、若い人が僧侶として安心して働けるだけの経営基盤が求められます。

持続可能な寺院であるためには、経営の安定が欠かせません。

そのような考えのもと、慶集寺では以下のような方針を定めております。

① 「慶集寺ご縁の会」へのご入会を前提として、仏事のご依頼をお受けしております。

② 会員の皆さまには、入会金や年会費などの費用を一律にお願いしております。

③ お布施やご法礼については、役員会の調査・協議により設定された「参考額」を、会員の方に限ってご案内しております。

④ 特別なご負担をお願いすることはありませんが、寺院の維持のために、可能な範囲でのご寄付のご協力をお願いしております

上記の方針に基づいて、適切なご納金をいただいている限り、慶集寺では誠意をもって仏事を執り行うことをお約束いたします。そのうえで、可能な範囲でのご協力をお願い申し上げます。

ご葬儀やご法要についてのご希望をお聞かせいただければ、住職が適切なアドバイスをさせていただき、会の取り決め金や参考額に基づいた、仏事費用のお見積もりを致します。

お寺が「営利目的」で活動しているわけではありませんが、それでも運営にはお金が必要です。そのことに前向きに向き合い、無理なく・無駄なく、誠実に「お金を用いる」ことは大切な姿勢だと考えます。

誠実にお金と付き合うことは、誠実に人と付き合うことなのだと思います。

寺族と会員とその縁者が相互理解を深めながら、次世代へとご縁が引き継がれていくことを、心より念願いたします。

慶集寺ご縁の会インデックス