① 門徒ってそもそも何ですか? 

これまで日本の伝統的な仏教寺院は「檀家」や「門徒」といったご縁に支えられて、運営されてきました。

うちはどこのお寺の檀家だとか門徒だとかと言うことがあると思いますが、一般的には、家の仏事を執り行う際に依頼する寺院、つまりは家のご葬儀やご法事などがあるときにお参りにやってくる「お寺さん」との関係を、門徒や檀家というわけです。

では、門徒と檀家にはどんな違いがあるのかというと、

浄土真宗に所属関係がある家 = 門徒
浄土真宗以外の宗派寺院との所属関係がある家 = 檀家

ということになります。

ここでの名称の違いは、浄土真宗という宗派の性格に深く関わる重要なことだと思うので、その由来から説明いたします。

まずは「檀家」から

檀家という言葉は、古代インドの言語であるサンスクリット語の「ダーナ」に由来し、その意味は「施し与える」、つまりは「布施」のことをいいます。この「ダーナ」という言葉が中国に渡り「旦那(檀那)」と音写されました。

俗にいうところの「ダンナ」というのはここからきた言葉で、施し与えてくれる人が「ダンナさま」というわけです。このダーナがもとになって「寺や僧を援助する庇護者」のことを「檀家(だんか)」というようになりました。

檀家という言葉には、出家をした僧侶に対する「スポンサー・支援者」といった意味合いがあって、支援する側とされる側の二つの立場があるように感じられます。

では「門徒」の方はどうかというと、「親鸞聖人の門下につらなる徒(ともがら)」つまりは「南無阿弥陀仏を称えて生きる浄土真宗の信仰者」という意味になります。

檀家という言葉に「支援者」の意味合いがあることと照らし合わせると、門徒という言葉には、信仰へのより主体的な意志が感じられます。

また「一門の徒(同じ宗派の仲間)」という意味でもあることを思うと、浄土真宗にみられる「在家仏教者の共同体」という特徴が、よく表されている言葉であると思われます。

慶集寺は、約500年前に越前の吉崎御坊に下向されていた蓮如上人の教化によって本願寺門徒となった初代を由緒として、18代に渡って浄土真宗の教えを受け継ぐ、西本願寺派の末寺です。

では、寺院と門徒の関係は、どのような歴史を経て現在にまであるものなのでしょうか?

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